新型コロナウイルスの影響で公開が延期になっていたドキュメンタリー監督ワン・ビンの8時間を超える集大成『死霊魂』が8月1日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開になる。その公開を記念して3月に開催されたワン・ビン監督特集2020も追加上映会が決定した。
◆日程:7月23日(木・祝)−7月25日(土)(3日間)
◆会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水) 東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F
◆追加上映作品
『鉄西区』1999-2003年(545分)、『鳳鳴 中国の記憶』2007年(183分)、『世界の現状』(オムニバス映画)2007年(101分)、『石炭、金』2009年(53分)、『無言歌』2010年(109分)
◆期間中トークイベント
7月24日(金) 「ワン・ビン(王兵)の映画を解読する 『鉄西区』『鳳鳴』から最新作『死霊魂』まで」
講師:土屋昌明(中国文学者/ワン・ビン(王兵)現代中国の叛史」著者)
※詳しい上映作品解説、上映スケジュールは下記HP をご覧いただきたい。
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/wa/wangbing_tsuika.html
以下は2019 年山形ドキュメンタリー映画祭で『死霊魂』を観た感想を再度アップしたもの。
🎬『死霊魂』ワン・ビン監督、撮影/中国/495分
1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で静粛されて、ゴビ砂漠にある再教育収容所に送られた中で生き残った人々の壮絶な体験談の証言を集めたドキュメンタリー。
2019 年に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た。ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)受賞作品だ。
8時間以上かかるドキュメンタリーで、休憩が2回入った。これを観ると他の作品が観られなくなるが、ワン・ビン・ドキュメンタリーを観ずして山形に行ったとは言えまいと一日がかりで臨んだ。
ワン・ビン作品は545分の超長編の『鉄西区』(2003年の山形ドキュメンタリーで大賞受賞)も、同じゴビ砂漠の収容所を題材にしたドキュメンタリー『鳳鳴ー中国の記憶(これも2007年に山形ドキュメンタリーで大賞受賞)』も観ている。この『死霊魂』で3度目のグランプリだ。
長さとしては『鉄西区』が長いが居眠りをした。だが『死霊魂』は、一人ひとりの証言の語りかけが真に迫っていて、観ているこちらが話相手の状態になって知らぬ間に休憩が入る3時間が経っていた。
もう一度観る覚悟は(体力的に)ないが「これこそ、ドキュメンタリー映画の本髄」と感じた作品だった。