
弁護士を夢見る少女カディジャとその姉のファティマは、モロッコの山奥に家族と暮らすアマジグ族の姉妹。数百年もの間ほとんど変わらない生活を送っている。
そんな日々の中で、姉のファティマが学校をやめて結婚準備中。妹のカディジャは仲良しの姉と離ればなれになってしまうのを寂しくおもっている。そし
て自分も姉のように学校を卒業する前にやめさせられるのかと不安になる。
アトラス山脈の四季折々の自然風景と、彼女たちの慎ましくも美しい日々の営みをありのままに記録したドキュメンタリー。
小さいパソコン画面だが久しぶりに大きく深呼吸をさせてもらった。ドキュメンタリーであるが映像詩のような趣があった。風の音、鳥たちの鳴き声と日本の三味線のような民族楽器、尺八の響きをもつ笛の音などが相まって郷愁を感じた。
この場所で新鮮な空気をたっぷり吸い込んで、木の実(きっとアーモンドだろう)をポリポリ頬張って、木陰で昼寝できたら最高だろうな……と贅沢なことを思った。
ドキュメンタリーの主人公である少女2人は結婚、都会に「期待以上に恐れ」を口にしていた。この2つの恐れは今の日本ではほとんど不要なものになっている。そんな今、見えない「ウィルス」に恐れている世界中の人に、若い時代に漠然と持っていた「恐れ」を思い出させてくれる静かなドキュメンタリー作品だ。
★第67回ベルリン国際映画祭フォーラム部門最優秀ドキュメンタリー賞にノミネートされた。監督さんは写真家としても活躍するタラ・ハディド。5年間、アマジグ族と寝食をともにして撮影したドキュメンタリー。
★シネマジャーナル(咲)さんのブログも是非お読みいただきたい。http://cinemajournal.seesaa.net/article/475143091.html
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