2020年01月08日

2019年国内映画祭・一押し作品(2)レインボー・リール東京から東京フィルメックス映画祭

今朝は確実に山火事影響のせいか風向きのせいか煙たい空気だ。まだ鎮火されていないようだ。娘が会社に行く前にマスク持ってる?と言ったが、マスクするほどではなかった。今日は2人で『Bombshell』を22ドルの先行上映に行く。

日本では2月21日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開で、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーが出演。アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局「FOXニュース」で2016年に起きたスキャンダルの裏側を描いている。

監督さんはジェイ・ローチ『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』の方。早く夜にならないかな。


◆第28回レインボー・リール東京〜東京国際レズビアン&ゲイ映画祭〜(7月5日から6日東京ウィメンズプラザホール/7月12日から15日スパイラルホール)
ほとんどボランティアスタッフだけで運営されている映画祭。この映画祭が「怒濤の映画祭シーズン」の始まり。ここの一押しは

🎬『カナリア』クリスティアン・オルワゲン監督/南アフリカ
1980年代のアパルトヘイト政策下の南アフリカ。歌、ピアノがうまい18歳のヨハンは徴兵制のため軍の聖歌隊に配属される。仲間と共に聖歌隊いえども厳しい身体訓練や上官の暴力に耐え、全国を周る。そんな中でヨハンは宗教や軍隊の意義について自問し、自分のセクシュアリティとも向き合うことになる。
是非とも公開してほしい作品。終わってからの拍手の鳴りようが違った。国や軍の管轄の合唱団や音楽団の映画は今年になって中国映画『芳華(ほうか)-Youth-』や、今上映中の『COLD WAR あの歌、2つの心』がある。その中に『カナリア』も付け加えてたい。指導者の言葉に「戦闘も合唱も気持ちを一つにしないと成果をあげられない」と言っていた。 ゲイ映画というより人間ドラマであり青春ミュージカル映画の佳品。★全映画祭作品中4位❗️

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◆ SKIPシティ国際Dシネマ映画祭(7月13日から21日 埼玉県川口市のskipシティ)
映画次世代映像産業の発展と集積、映像クリエーターの発掘と育成を目指して開催される映画祭。世界各国から優れた作品が集まっていて毎年楽しみにしている。川口は遠いし、暑いし、と多難だが行った甲斐がある映画祭。それに全日程チケットも安価。ここの一押しはこれ。

🎬『ザ・タワー』マッツ・グルードゥ監督、脚本/ノルウェー、フランス、スウェーデン
ベイルート郊外の難民キャンプで家族や親戚と一緒に暮らすパレスチナ人の少女ワルディ(声:ポーリーヌ・ジアデ)は、それぞれが辛い記憶や未来への希望を秘めていることに幼いながらも気づいていた。そんなある日、1948年に故郷パレスチナを追われ、この難民キャンプに来た曾祖父シディから大切に持っていた故郷の家の鍵を託された。ワルディは曾おじいちゃんが帰郷の夢をあきらめてしまったのかと不安になってしまうが……。
国際コンペティション部門で初の「長編アニメーション」。パトリス・ネザンプロデューサーが来日。マッツ・グルードゥ監督は現在、中東の難民キャンプを回って本作を上映しているとのことで来日は叶わなかった今の時代をクレイ・アニメーション、昔を振り返る映像は同時の映像ニュースなどが使われていた。★全映画祭作品中1位❗️


◆あいち国際女性映画祭(9月4日から8日 ウィルあいち)
女性監督の作品を集めて上映される国内唯一の映画祭。一押し作品は

🎬『紅花緑葉(原題)』リウ・ミアオミアオ監督/中国
中国西北部にある寧夏回族自治区の黄河流域の田舎に住む二十歳のイスラム教徒の青年グー・ボは、幼いころからてんかんの持病があって結婚をあきらめていた。そんな彼に突然見合いの話が持ち上がった。一応ショッピングセンターで顔合わせをしたが既に結婚は決まっていた。妻になったアー・シーイェは美人で働き者だが重大な秘密を隠していた。グー・ボも持病のてんかんのことは隠していた。新婚生活はぎこちないながらもはじまったが……。
中国のイスラム教徒と聞いただけで興味を持った。舞台となった地域は監督さんの故郷で棚田の美しさには息をのんだ。音楽も郷愁を誘うもので体まるごと画像の中に入ったような感覚になった。問題は二人が本当の「夫婦」になるまでと、「隠していたこと」を許せるか……ということだ。これは貴重な「中国のイスラム教徒」の作品として是非とも公開してほしいと思っている。


◆アジアフォーカス・福岡国際映画祭 (9月13日から19日 キャナルシティ博多他)
映画はもちろんだが友人たちと映画がおわってからのひと時が楽しみな映画祭。

🎬『恋の街、テヘラン』 /イラン、イギリス、オランダ
舞台は大都市のテヘラン。元チャンピオンのボディビル・トレーナーのヘサム(アミルヘサム・バクティアル)はフランス映画の出演のオーディションが受かり楽しみにしていたが、ジムの上客の甥がボディビル大会に出るために特訓をしてほしいと頼まれてトレーニングを始めた。美容クリニックの受付をする太った女・ミナ(フレーク・ガジャベグリ)は気に入った男性患者にこっそり偽名で電話をかけて誘い出そうと画策していた。モスクで葬式の時に歌うワヒド(メーディ・サキ)はフィアンセに別れを告げられた。友人は「暗くて悲しそうな歌ばかり歌ってるから辛気臭く逃げられたんだ。結婚式場の歌い手をさがしているところがあるから紹介する」と言われ断り切れないで結婚式場に行く。
テヘランに住む3人の男女の群像劇で奥が深い作品。公開して大勢の方に観てもらいたい。3人ともすごく不幸とか貧乏ではない。なんとか自分の力で生活している。でも「愛するパートナー」はいない。相手や世間から決定的なことを「突きつけられる」が、自分の口からは何も言わない。期待を裏切られることには慣れているのか……3人とも愛すべき存在と最後に気付いた。ちょっとしたことでも人間は幸せを感じ、前を向いて生きていこうとするいじらしい存在なんだな……と感じた。


◆山形国際ドキュメンタリー映画祭2019 (10月10日から10月17日 山形市中央公民館 山形市民会館他)
2年に一回の映画祭。日本が世界に誇れる映画祭。ドキュメンタリー好きにはたまらない映画祭だ。雨台風でスケジュールは乱れたがスタッフのご努力で日時を変えて上映された。

🎬『死霊魂』ワン・ビン監督、撮影/中国/495分/インターナショナル・コンペティション/ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)受賞作品
1950年代後半に起きた中国共産党の反右派闘争で静粛されて、ゴビ砂漠にある再教育収容所に送られた中で生き残った人々の壮絶な体験談の証言を集めたドキュメンタリー。
一人ひとりの証言の語りかけが真に迫っていて、観ているこちらが個人的に話相手の状態になって知らぬ間に休憩が入る3時間が経っていた。 この映画祭で3回目の大賞受賞のワン・ビン・ドキュメンタリーだから必ず公開されるはず。もう一度観る覚悟は(体力的に)していないが「これこそ、ドキュメンタリー映画の本髄」と感じた作品だった。


◆東京国際映画祭2019(10月27日から11月5日 六本木ヒルズ、exシアター六本木他)
8日間ほとんど3作品から5作品を観続けた。それでも各賞の作品を観のがしてしまう。山形やこの映画祭では身体が3つは欲しい気持ちでいっぱい。そんな中での一押し2作品

🎬『動物だけが知っている』ドミニク・モル監督、脚本/フランス
雪嵐の山深い村の道で車だけ残して女性が忽然と消えた。隔絶されたような村で5人の人たちが、その謎に捕らわれて……。
最高の群像サスペンス❗️最後のシーンで観ている全員が息をのんだ❗️公開が待たれるが1日も早くとお願いしたい作品。映画祭全作品中2位❗️


🎬『リリア・カンタペイ、神出鬼没』アントワネット・ハダオネ監督、脚本、原案/フィリピン
30年の間、魔女や幽霊の端役ばかり演じてきた女優・リリア・カンタペイさんは初めて国内の映画祭で助演女優賞にノミネートされた。舞い上がってしまった彼女は受賞式に来ていく衣装、スピーチを考えていた時、人気テレビ番組から取材を受けることになって……。
フィリピンの街角で「リリア・カンタペイさんを知っていますか」と聞いても誰も知らないが、写真を見せるとほとんどが「魔女をよくやってる」「知ってる、知ってる、幽霊役の人だ」と口々に言う。女優ではあるが彼女の暮らしは電話もない貧しさ。出演の連絡はお店やさんに取り次いでもらっているから、1日1回、連絡なかった聞きに行くわけだ。彼女の家には出演したチラシが壁に貼ってある。自分の名前を大きく書いたチラシもあった。歳はとってもお茶目な方で人情家でもある彼女だ。最後、嬉しさが込み上げてきてミッキーは泣いてしまった。映画祭全作品中3位❗️


◆東京フィルメックス映画祭(11月23日から12 月1日有楽町朝日ホール他)
玄人受けする作品が多い映画祭だが暗い雰囲気が濃くなる傾向のある中で一押しは

🎬『完全な候補者』ハイファ・アル=マンスール監督/サウジアラビア、ドイツ
サウジアラビアの小さな街の病院に勤める女性医師マリアムは、いつも女性であるための不自由さを感じていた。今日も年寄りの患者から診察を拒否された。もっと良い病院に勤めたいと海外の研修に行く許可をもらったが、肝心の海外渡航許可証が切れていて更新するのにも男性の保護者のサインがいるとなった。民族楽器の有名な演奏家である父親に連絡してもつかまらず、父親の元弟子だった市役所の高官にサインをもらいに行くと市会議員に立候補する人でないと今日は面会できないと言われてやむなく立候補すると答えてしまった。
面白かった❗️フィルメックス映画祭独特の難しさ、暗さはみじんもなく体が急に軽くなった気分だった。女性監督さんで『少女は自転車に乗って』『メアリーの総て』それとミッキーは知らなかったが、Netflixで『おとぎ話を忘れたくて』もあるらしい。
posted by ミッキー at 07:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする