2020年01月02日
2019 年洋画ベストテン
上記はオーストラリア日本人向けの新聞です。ホース水撒き禁止で、ミッキーはバケツにくんでから片手鍋で水やりしている。どのニュース番組も最初はこのことから始まる毎日。
[洋画]
1位『たちあがる女』ベネディクト・エルリングソン監督/アイスランド、フランス、ウクライナ
風光明媚なアイスランドの田舎町。この町で暮らすハットラ(ハルドラ・ゲイルハルズドッテイル)は、地元の合唱団の指導講師。だがそれは仮の姿。周囲に知られていないが、彼女は謎の環境活動家「山女」として、地元のアルミニウム工場に対して、密かな闘いを挑んでいる。
『馬々と人間たち』の監督ベネディクト・エルリングソンさんの新作。すごく興奮した。まるでミッキー自身がやっているような躍動感が身体全体からわきあがって来た。ジョディ・フォスターが監督と主演でリメイクが決定したニュースが入って来たが楽しみだ。気に入ったのは合唱指導者という立場。発声を促す呼吸も指揮棒をふるしぐさも、腹式呼吸の様子も完璧❗️ ★ハルドラ・ゲイルハルズドッテイルさんに主演女優賞 ★音楽賞
2位『パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)』ブライアン・ヘンソン監督/アメリカ
パペットの技術者として有名なブライアン・ヘンソン監督の人間とパペットのアクション・コメディ。人間とパペットが共存する世界で、パペット連続殺害事件の犯人を追う。パペットはすべて特注で手作り。パペット市民もいて125体。殺しの場面で綿がまるで血のように見えてしまい、ゾッとした。★ フィルの声ビル・バレッタさんに声優賞
3位『私のちいさなお葬式』ウラジミール・コット監督/ロシア
ロシアのとある村で暮らしている73歳の元教師エレーナ(マリーナ・ネヨーロワ)は、医者から心臓疾患でいつお迎えが来てもおかしくない体と宣告された。
やられた!すっごくいい!何もかも文句なし!もちろんパンフレットを買った。こんなこと起こり得ないと思うことと起こり得るの間を面白く綱渡りさせてくれた。★監督賞★脚本賞
以下順位なし
🎬『ブラック・クランズマン』スパイク・リー監督/アメリカ
1970年代のアメリカ。コロラド州コロラドスプリングスで働く黒人警官ロン・ストールワース(ジョン・デヴィット・ワシントン)はある日、クー・クラックス・クラン(通称KKK)の広告を見つける。当時アメリカ全土で急激に支持を伸ばしていた過激な白人至上主義の団体で、ロンは面白半分でKKKに白人の英語発音を巧みに使って電話をした。電話で熱意がかわれて是非会いたいとまで言われてしまう。それなら「身を偽って潜入」することを決めたが……。135分あっという間に終わった。面白いを通り過ぎて呆気に取られたまま終わってしまった。もう一度おかわりしたくて、2回続けて観た。2回は少し冷静になってじっくり観ることができた。★アダム・ドライバーさんに助演男優賞
🎬『THE GUILTY/ギルティ』グスタフ・モーラー監督・脚本/デンマーク
アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)はある事件をきっかけに警察官としての現場を離れ、緊急通報司令室のオペレーターとして交通事故による緊急搬送を手配する係りとして勤めていた。近々、元の職に戻る予定だった。そんな時、「今、誘拐されている」という女性から通報を受ける。車の発車音、女性のふるえる声、犯人と思える息遣いなど、聞こえる音だけを手がかりに、彼は被害者を助けようとしたが……。
グスタフ・モーラー監督の長編デビュー作品。最初にこんなすごいのを作ってしまい、後にどうやってレベルダウンせずに作り続けて行けるのか老婆心ながら心配になった。出ずっぱり、喋りっぱなしのヤコブ・セーダーグレンさんも知らないお顔。声もいいし緊張感いっぱいの表情は、ミッキー好みの渋さ。★新人監督賞
🎬『テッド・バンディ』ジョー・バリンジャー監督/アメリカ
1969年、ワシントン州シアトル。バーで出会い恋に落ちたテッド・バンディ(ザック・エフロン)とシングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)は、リズの幼い娘モリーとともに3人で幸せな生活を送っていた。しかし1975年のある日、信号無視で警官に止められたテッドの車の後部座席に積んであった道具袋のことで誘拐未遂事件の容疑をかけられて逮捕されてしまう。その頃、女性の誘拐事件が起きていて、犯人らしき男はテッドと同じフォルクスワーゲンに乗っていて、似顔絵もテッドの顔に似ていた。
ザック・エフロンが、30人以上の女性を惨殺した殺人鬼を演じる。この男、完璧なハンサム男で頭もいい。嫁さんや連れ子をこよなく愛している。なのに30人(もっとらしい)以上の美人ばかりを惨殺したシリアル・キラー。
★監督さんは同じテッド・バンディをNetflixでドキュメンタリー「殺人鬼との対談 テッド・バンディの場合」も撮っている。絶対見たい❗️
🎬『孤独なふりした世界で』リード・モラーノ監督/アメリカ
世界は終末を迎えていて人類のほとんどが死に絶えている。小人症の男デル(ピーター・ディンクレイジ)はたった1人、誰もいなくなった町で、空き家を整理して、死体があれば埋葬をしていた。図書館に勤めていた彼は、こんな世界でない時も「孤独」だったが、ひとりが好きで今の生活も気に入っていた
そこに傍若無人に入り込んできたグレースだ。エル・ファニングの壊れやすいガラスのような美しさに目を奪われた。デルの生活を混乱させるが、まさか2人が恋愛関係にはならんだろうな、などと騒ついた感覚は今でも思い出す。2019年未体験ゾーンの映画たちで上映。DVDが出たらもう一度見たい作品。
🎬『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』ダニエル・ファランズ監督/アメリカ
カリフォルニア州シェロ・ドライヴ100050番地の丘に建てられたプールつきの豪華な屋敷に『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督と妻で新進の人気女優のシャロン・テートが引っ越して来た。若妻のシャロンはもうすぐ臨月でお腹がはち切れんばかり。誰からみても最高のカップル、最高の住環境、親しい友人に囲まれた彼女だったが、この家に来てから、ずっと悪い夢を見るのだった。
うまく作られている。時の流れは前後するがそれで混乱することはなかった。時々当時の事件ニュース映像が映されて緊迫感、臨場感は半端ではない。「想像の作り物」と思わせておいて、最後にちゃんと辻褄合わせをして納得した。クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』よりシャロン・テイトの非業な運命が伝わってきた。
🎬『ドッグマン』マッテオ・ガローネ監督/イタリア
イタリアのさびれた海辺の町で「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを細々と経営しているマルチェロ(マルチェロ・フォンテ)。彼の手にかかると獰猛な犬もいうことをきくので、仕事も順調で離婚した妻や娘とも交流があり、それなりに幸せな生活だった。だが、麻薬常習の友人シモーネ(エドアルド・ペッシェ)からの儲け話を断り切れず手伝ったために、近隣の仲間たちの信用とトリミングサロンの顧客を失ってしまう。
『ゴモラ』のマッテオ・ガローネ監督の新作。2019年5月ゴールデンウィークのイタリア映画祭でいち早く公開が決まっていて、公開するならと映画祭では観なかったのだ。今思えば観ておくべき作品だった。彼の行動が理解できるかと問われたら「理解できない」としか答えられない不思議な展開をする。ワンちゃんには辛いシーンはないのでそういう点ではご心配なくご覧いただける。★ぞわぞわ鳥肌ムービー賞
🎬『希望の灯り』トーマス・ステューバー監督/ドイツ
旧東ドイツ、ライプツィヒの近郊。無口な27歳のクリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は、建設現場の仕事をクビになって、大型スーパーマーケットの在庫管理担当の試験採用として夜間を中心に働き始める。いままでの仕事とは180度違う職場で戸惑うことがたくさんあったが、そこで働く人は口数の少ない彼を適度な距離を保ちながら仲間に入れてくれた。そんなクリスティアンはケーキ売り場のマリオン(ザンドラ・ヒュラー)に一目惚れするが……。
よく映画の感想で「景色が良かった」と言われるが、この作品はほとんどが大型スーパーの内部で撮られている。なのに「景色」がいいのだ。売り場はもとより、倉庫、冷凍倉庫、休憩所、裏手のゴミ収集場など無機質な室内も見る角度によってそれ自体に温もりを感じた。★撮影賞
その他に🎬 『アマンダと僕』のアマンダ役・イゾール・ミュルトリエちゃんにベスト子役賞