本年もミッキーのブログをよろしくお願い申し上げます。
今年も映画館、試写室、映画祭で観た670作品の中から、ベストテンを日本映画、洋画、アジア映画、ドキュメンタリー映画、ホラー映画、アニメ映画、映画祭一押し作品等々をアップする予定。(この1週間で書き換えもあると思うので、ご容赦いただきたい)
[日本映画]
1位『よこがお』深田晃司監督/日本、フランス
自分が何もしなくても市子のような立場になる可能性は確かにある。事件が起これば加害者の両親、兄弟はもとより事件の元を作った市子の立場も無関係とは言えない微妙さがある。
筒井真理子さんの実力は『ニート・オブ・ザ・デッド』で承知している。本作でも胸のざわつきが長時間続いた。しかし、後味が悪いのとは全く違う。★ 筒井真理子さんに主演女優賞 ★ヘア&メイクアップ賞
2位『岬の兄妹』片山慎三監督
足の不自由な良夫(松浦祐也)は知的障害の妹・真理子(和田光沙)と安アパートで暮らしている。仕事をリストラされた良夫は貧しさから真理子に売春をさせて生計を立てようとするが……。
映画って1回目はいったいどこまで理解しているのだろうか、常にそう思っているがこの『岬の兄妹』を観て特にそう感じた。最後のシーンはどう理解したらいいのかわからないが、ガラッと変わった妹の表情が目に張り付いている。⭐️中村祐太郎さんと兄のドア越しのセリフの間の取り方に鳥肌がたった。★監督賞★脚本賞★中村祐太郎さんに助演男優賞
3位『タロウのバカ』大森立嗣監督
戸籍がなく一度も学校に通ったことのない少年タロウ(YOSHI)。彼には名前もなかったが高校生のエージ(菅田将暉)とスギオ(太賀)はタロウと名前をつけたのだ。エージとスギオはそれぞれ悩みを抱えているが、タロウといる時だけ、心が解放されるのだった。
だれにでもオススメとはいかない。見たあと、ベタッとくっついた靴底のガムみたいに「拭いきれない何か」が張り付いて離れない。主役はあくまでも少年で友だちになった菅田将暉は脇役だ。「脇」の目で寄り添っていた。★作品賞
(以下順位なし)
🎬『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』野口照夫監督
仕事一筋で単身赴任していた岩本家の父・暁(吉田鋼太郎)は、突然会社を辞めて家に帰って来た。息子のアキオ(坂口健太郎)は以前から父の本音がわからず困っていたが、アキオがのめり込んでいるオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の世界に父を誘導して、息子であることを隠して、一緒にゲームをしようというものだった。早速、アキオは顔も本名も知らないゲーム仲間たちに協力を求めた。その秘密計画を「光のお父さん計画」と名付けて……。原作は息子である事を隠して父とオンラインゲームする日々を書いたブログだとか、こんな親孝行もありだな、と時代を感じさせてもらった作品だ。★ 吉田鋼太郎さんに主演男優賞
🎬『決算!忠臣蔵』中村義洋監督
全く意表を突いた忠臣蔵コメディー。消費税も上がって、お金にはシビアになっているこの頃。豪華な俳優陣。西川きよし、桂文珍さんのお顔も。
🎬『エリカ38』日比遊一監督
映画自体は三流。いや、そう見せようと作っているふしがある。「格調高い」は褒め言葉だが「そうじゃないよ」と落としているところが「ミソ」だ。カメラも女優さんを美しく撮ろうとも思っていない。演じる女優さんはしっかり化粧して挑んでいるがよく見ると見せたくないと思うところもちゃんと見せてくれている。浅田美代子さんは演じる時の覚悟より、出来上がった作品を見る覚悟のほうが大きかったのではと感じた。平岳大、木内みどりさんが良かった。★木内みどりさんに助演女優賞。ご冥福を祈ります。
🎬『月夜釜合戦』佐藤零郎監督
日本最大の「寄せ場」釜ヶ崎(西成・あいりん地区)。日雇労働者、芸人、私娼や孤児など市民社会からはじき出された者たちが、この街に暮らしてきた。そんな街が再開発で今失われつつある。全編16フィルムで「通称・釜ヶ崎」が浮かび上がると何故か郷愁を感じた。 渋川清彦さんも顔負けの「寄せ場の人たち」が普通の佇まいで日常を見せてくれた。どうして通称「釜ヶ崎」と名がついたという台詞に「米を炊く釜が一番大切だから、何よりもカマガサキ」の意味が諸説ある中で一番気に入った。
🎬『任侠学園』木村ヒサシ監督
困っている人をほっとけない義理と人情に厚すぎるヤクザ阿岐本組組長(西田敏行)は社会や文化的事業に目がなく、次から次へと厄介な頼みごとを引き受けてしまう。今度は経営不振の高校の建て直し。阿岐本組NO.2の日村(西島秀俊)は学校には良い思い出がないので関わるのは嫌だったが……。これはシリーズ化もありだなぁと思っていたら、最後エンドロールあとに、電話がかかってきて「今度の仕事は温泉ですか」と西島さんが答えて劇場に明かりがついた。原作に「任侠温泉」がなくてもシリーズ化してほしい。もちろん西西コンビで。★ベストコンビ賞
🎬『兄消える』西川信廣監督
親から受け継いだ鉄工所を細々と続ける鈴木鉄男(高橋長英)は76 歳の現在まで結婚もせずに一人暮らし。つい最近まで父親の介護に追われていたがその父も100歳で亡くなった。そんなある日、突然40 年間も行方知れずだった兄の金之助(柳澤愼一)が、ふらりと戻ってきた。ちょい悪老人で飄々としていて世渡り上手の金之助を演じる柳澤愼一さん。東京のラピュタ阿佐ヶ谷で映画が始まる前に画面ではなくお声だけで「お耳拝借」と言って予告をなさっている。一瞬だが雪村いずみさんも。
🎬『Bの戦場』並木道子監督
誰もが認める「ブス」を自覚して、結婚をあきらめて一生懸命ウェディングプランナーとして働く香澄(よしこ)は、新しく赴任してきたイケメン課長・久世(速水もこみち)から突然プロポーズされる。もこみちさんが「顔はブスだが、身だしなみが良くて、品がある、貴女こそ、僕の理想なブスだ!!」と言っていたが、反対にすっごい美人でも洋服センスが良くなくて下品なら、と考えるともこみちさんの言ってることに同感した。でも、こうもブスブスと言われたら凹んでしまう気持ちもわかるな。
以上10作品の他に🎬『凪待ち』の黒田大輔 (印刷会社の同僚役。橋口亮輔監督『恋人たち』の黒田もすごい)さんに個性俳優賞 🎬『引っ越し大名』★ナレーション賞に立川志らくさん、味わいのあるお声だった。