再開発で取り壊しが決まったプノンペンの「ホワイトビルディング」という歴史的な集合住宅の住民を追ったドキュメンタリー。
若き監督さんはこのビルで劇映画を撮ろうしていたが、資金集めがうまくいかず、まず撮るだけでも撮っておこうと思って撮り始めたのが50時間に及ぶものだった。

監督と編集の方が来日。始めは編集を監督自身がやっていたが自信が持てなくて、いっそのことカンボジアのことを知らない編集者に頼むことにした。その甲斐あって77分となったわけだ。
この取り壊されたアパートには監督さんのご両親も住まれていて、カメラ越しに「今の気持ちは」と尋ねるが「それは言わない、言うと涙が出る。お前はここで生まれた育ったのだから最後には香を焚いて感謝の気持ちを示さないといけないよ」と諭すように言っていた。
★ 「ホワイトビルディング」は1963年にプノンペンに建造されクメール・ルージュの時代を生き延びた歴史的な集合住宅。
★日本の同潤会アパートを思い出した。このアパートは1923年にに発生した関東大震災の復興支援のために設立されたもので1996年に解体された。時代は違うが当時の最先端のアパートだったことが偲ばれた。
