舞台は雑居ビルにあるデリヘル。ここで働くのは、女性たち、客をさばく雇われボス、送り迎えする男性運転手がいる。
入ったばかりのカノウ(伊藤沙莉)は、その部屋の様子をみて小学生の時にやった「カチカチ山」を思い出すのだった。皆、ウサギちゃんには目がいくが、タヌキには目もくれない……。

生々しい性産業の現場が面白い。女の職場?だが、若い子や美人にご指名がかかる。自分はまだまだ捨てたもんではないと確信してる痛い女もいるし、精神がちょっと……と思う女もいるが、これはこの職場独特のものではないと思う。大会社だって似たような構造はあるはず。
どんな映画でも「隙間」にちょこんと入っていい感じの佐津川愛美さんがここでは痛い女を演じていたし、片岡礼子さんは年季の入った娼婦然とした貫禄はさすがで、吐露する台詞も良かった。
🎬『どうしようもない僕のちっぽけな世界は、』倉本朋幸監督/87分/日本映画スプラッシュ
幼い娘を持つ若い夫婦(郭智博 和希沙也)は、突然、児童相談所に虐待を疑われて、娘ひいろ(古田結凪)を養護施設に入れられてしまう。
検査した医師は、脳に異常が見られるという結果に身に覚えのない夫だったが妻がルーズで自分勝手な行動や約束を守らない性格なので妻が手をあげたのかと思っていた。給料も事件のことで休みがちになって実家の母親(美保純)から援助してもらっている状態になってしまった。
養護施設に夫が会いにいく場面から始まった。優しいお父さんだが子は「パパァ」と飛び付いてくるわけでもない。一人で遊んでいて父親の問いかけに答えている。お母さんにも飛び付いてもいかず、身をこわばらせているようだった。でも虐待しているかはわからない
そんな時、相談員が実家のおばあちゃんのところなら養護施設から出すことができると言われ四国の田舎に行く。その後もいろいろあって娘が怪我をした時、検査で脳には異常はないと言われ、怒りは沸騰する。
最初、自分たちはしていないと言ったが、医師の「脳に異常あり」の言葉で仕事も家族もうまくいかなくなった。そのことを突き詰めようと医師に電話するが相手にされない。
とりとめもなくストーリーをだらだらと書いてしまったが、いつ何どき誰もが「こうなる」可能性はある。何かのきっかけで「精一杯でやっている生活」が崩壊していくのを見て辛くなった。