2019年11月28日

第20回東京フィルメックス映画祭(4)『昨夜、あなたは微笑んでいた』

🎬『昨夜、あなたは微笑んでいた』ニアン・カヴィッチ監督/カンボジア、フランス/77分/2019年

再開発で取り壊しが決まったプノンペンの「ホワイトビルディング」という歴史的な集合住宅の住民を追ったドキュメンタリー。

若き監督さんはこのビルで劇映画を撮ろうしていたが、資金集めがうまくいかず、まず撮るだけでも撮っておこうと思って撮り始めたのが50時間に及ぶものだった。

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監督と編集の方が来日。始めは編集を監督自身がやっていたが自信が持てなくて、いっそのことカンボジアのことを知らない編集者に頼むことにした。その甲斐あって77分となったわけだ。

この取り壊されたアパートには監督さんのご両親も住まれていて、カメラ越しに「今の気持ちは」と尋ねるが「それは言わない、言うと涙が出る。お前はここで生まれた育ったのだから最後には香を焚いて感謝の気持ちを示さないといけないよ」と諭すように言っていた。

★ 「ホワイトビルディング」は1963年にプノンペンに建造されクメール・ルージュの時代を生き延びた歴史的な集合住宅。

★日本の同潤会アパートを思い出した。このアパートは1923年にに発生した関東大震災の復興支援のために設立されたもので1996年に解体された。時代は違うが当時の最先端のアパートだったことが偲ばれた。

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2019年11月27日

第20回東京フィルメックス映画祭(3)『水の影』『熱帯雨』

🎬『水の影』サナル・クマール・シャシダラン監督/インド/120分/2019年

女子学生のジャナキは親に内緒でボーイフレンドとドライブに出かけた。だがボーイフレンドだけではなく、彼のボスの運転する車で行くことになった。

雨降りの上に霧もかかりジャナキはボスの薄汚い様子に不安を感じるが、街に着いて大型商業施設でショーを見たりボーイフレンドに洋服を買ってもらったりしているうちに笑顔も戻ってきた。だが別行動していたボスと携帯で連絡がつかないために今日中には帰れない時間になってしまった。

バスで帰ると泣きわめくジャナキだったが、ボスの大声で威嚇する命令に背けず、仕方なく3人はモーテルに泊まることにしたが、ジャナキにとって恐怖の一夜の始まりだった。


なんだか悪い先行きばかり頭浮かんでしまったが、まさに嫌な予感的中。お金にすれば半額の700円でもノーサンキュー!

監督さんはこれは実際に起こったレイプ事件(女の子がボーイフレンドとドライブ?に行きボーイフレンドの友人40人にレイプされた)にインスパイアされたらしいが、汚ならしい男、軽い考えの若者、世間知らずの女子高生のどの配役にも共感できなかった。

🎬『熱帯雨』アンソニー・チェン監督/シンガポール、台湾/103分/2019年

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マレーシアで生まれてシンガポールの男子高校で中国語を教えている女教師リンは投資家の夫と結婚して8年になるが子どもができなかった。数年前から不妊治療をしているが、最近夫は協力的ではない。

高級なマンションに住んでいるが車椅子の義父も同居。学校勤務時は家政婦さんに来てもらい、帰ったらリンが優しく世話していた。

そんなある日、中国語の点数の悪い生徒を週に一回残して補習することになり、その中にウェイルンという名前の男の子がいて、サボる子が多い中で彼だけが一生懸命勉強してくれた。彼とは教室内で話すことが多くなり次第に教師生徒の関係ながらも親しくなって……。


『イロイロ ぬくもりの記憶』の監督さんだ。この作品は2013年のフィルメックス映画祭で観客賞を受賞した。カンヌ映画祭でもカメラ・ドール(最優秀新人監督賞)を受賞している。そして、2019 年、待ちに待った新作。ミッキーとしては前作が好みだが監督の巧みはたっぷり。

それも出ている俳優さんが『イロイロ〜』のお母様・ヨー・ヤンヤンと家政婦さんになついちゃうヤンチャ息子コー・ジアルーだった。まあ、今回は先生生徒の、おっと、これは公開必至と思うのでここまで。

★コー・ジアルーの中国武術シーン、ドリアンを美味しそうに食べるシーンだけで映画代の半分以上は元が取れる!
posted by ミッキー at 20:45| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月26日

第20回東京フィルメックス映画祭(2)『評決』『ニーナ・ウー 』

🎬『評決』レイモンド・リバイ・グティエレス監督/フィリピン/126分/2019年

ジョイは日頃から夫ダンテから暴力を受けていた。だが6歳の娘にも暴力が及んだので彼女は自分たちを守るために夫の腕を刺してしまう。
夫の傷はたいしたことはなかったが、その時、ジョイに振るわれた暴力は顔面が血だらけで膨れ上がっていた。

彼女は娘を連れて警察に駆け込むが……。

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フィリピン映画といえばブリランテ・メンドーサ監督だ。若き監督はメンドーサ監督のお弟子さんでこの作品が初長編。インド映画の裁判もの『裁き』ほどではないが、初長編作品としては上出来。

全編ほとんど手持ちカメラ撮影で途中船酔い状態だったがフィリピンの警察の取り調べ、裁判の下準備、弁護士とのやり取りなど興味深いものだった。

会場からの質問で「被害者も加害者も同席しての取り調べなど日本では考えられないが…」というのがあったがミッキーもこの点が最も驚いたことだった。
監督さんはフィリピンの警察も裁判所もよりよく改善しようとはしているが、現実はこのとおりだ。でも批判するつもりで撮ったわけではないと答えていた。

★ミッキーが一番気に入ったのはエンドロールがするするするするとちょうど良い早さで終わったこと。おかしなホメようだが重い作品で2時間越え(編集の余地はあるが)だったから体力的に救われた気持ちになった。


🎬『ニーナ・ウー』ミディ・ジー監督/台湾、マレーシア、ミャンマー/103分/2019年

8年もの間、短編映画、CMなどの脇役に甘んじて来たニーナ・ウーは、1960年代のスパイものスリラー映画の主役に抜擢された。 この作品に出ることによって女優の地位は確立されたも同然であるが、撮影は人間性を無視したもので、その進行中に父親の事業の失敗、母親の心臓発作などで数日帰郷することになった。

オーディション、映画撮影現場、故郷、故郷にいる同性の元恋人、父母、愛犬などが入り乱れて「現実、撮影映画中、希望的妄想、悪夢」でミッキーの頭は混乱。だが最後のシーンだけは「真実」と感じた。その痛ましさだけが残る作品だった。
posted by ミッキー at 08:24| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする