2019年09月21日

アジアフォーカス・福岡国際映画祭(5)『恋の街、テヘラン』

🎬『恋の街、テヘラン』 /イラン、イギリス、オランダ/102分

舞台は大都市のテヘラン。

元チャンピオンのボディビル・トレーナーのヘサム(アミルヘサム・バクティアル)はフランス映画の出演のオーディションが受かり楽しみにしていたが、ジムの上客の甥がボディビル大会に出るために特訓をしてほしいと頼まれてトレーニングを始めた。

美容クリニックの受付をする太った女・ミナ(フレーク・ガジャベグリ)は気に入った男性患者にこっそり偽名で電話をかけて誘い出そうと画策していた。

モスクで葬式の時に歌うワヒド(メーディ・サキ)はフィアンセに別れを告げられた。友人は「暗くて悲しそうな歌ばかり歌ってるから辛気臭く逃げられたんだ。結婚式場の歌い手をさがしているところがあるから紹介する」と言われ断り切れないで結婚式場に行く。

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テヘランに住む3人の男女の群像劇で奥が深い作品。公開して大勢の方に観てもらいたい。

3人ともすごく不幸とか貧乏ではない。なんとか自分の力で生活している。でも「愛するパートナー」はいない。

相手や世間から決定的なことを「突きつけられる」が、自分の口からは何も言わない。期待を裏切られることには慣れているのか、これが普通の日々と思って「ほんの少し希望」を感じたいと願っているだけのように見えた。

3人とも愛すべき存在と最後に気付いた。ちょっとしたことでも人間は幸せを感じ、前を向いて生きていこうとするいじらしい存在なんだな……と感じた。
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2019年09月20日

アジアフォーカス・福岡国際映画祭(4)『マンタレイ』

🎬『マンタレイ』プッティポン・アルンペン監督/タイ、フランス、中国/105分

タイとミャンマーの国境付近の漁村に住む金髪の漁師は薄暗い森で、木々に絡まれ怪我を負った男を助けた。男は無口(声がでないのかもしれない)で漁師はトンチャイと名付けて仕事を教えて共同生活をしていた。漁師には妻がいたが数年前に逃げていって今はいない。

次第に男二人は心を通わせて平穏に暮らしていたが、突然漁師が帰って来なくなった。漁師仲間に聞くと「高波にのまれて死んだのではないか」と言われた。トンチャイは1人漁師の家に留まっていたが、漁師の妻が突然戻って来た。トンチャイは漁師の妻と奇妙な生活がはじまった。この生活も穏やかに過ぎていったが……。


始まりの森のシーンが異様だった。森の木々に電飾の人工的な明かりが点滅していて、それが何を意味するのかわからなかった。漁師は「ここには何万人のロヒンギャの死体が埋まっている。昼は来られても夜はぞっとする」とつぶやいていたが鎮魂のための電飾だったのだろうか。

その茂みのところで口の聞けない男を発見したのでおそらくロヒンギャの人だろうと想像した。

この男は意志を持たず漁師とも、戻ってきた妻とも、良く言えば「素直」、悪く言えば「言いなり」だ。

この性格自体を「ロヒンギャ族」そのものを表しているのかと思ったが……。よく分からない作品だった。題名もどうしてマンタレイなのかも分からなかった。
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2019年09月19日

アジアフォーカス・福岡国際映画祭(3)『轢き殺された羊』『誰かの妻』

🎬『轢き殺された羊』ペマツェテン監督/中国/87分/九州初上映

広大なチベットの平原を走るトラック運転手のいかつい男・ジンパ(ジンパ)は誤って羊を轢き殺してしまった。悔やんだジンパは羊をトラックに乗せてしばらく進むと、歩いていた若者(ゲンドゥン・プンツォク)に出会いトラックに乗せてやった。その男も名前をジンパといい「父を殺した男を殺しに行く」と言葉少なく語った。

ジンパは途中で若者を降ろし、死んだ羊を僧院に託した。その後、どうしても若者のことが気になり彼の向かったという地に立ち寄った。

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チベットの監督さんで『old dog』も素晴らしい作品だった。

台詞は少ないが訴える映像や観ている者の想像を裏切らない作品だった。裏切らないといっても予定調和ではなく「希望」に向かい、味わいたい「感動」を用意されている。

チベットの荒涼たる平原をトラックのミュージックカセットから流れる「オー・ソレ・ミオ」のカンツォーネが似合っていたのが不思議だった。

★2018年・第19回東京フィルメックスでコンペティション部門で審査員特別賞を受賞。


🎬『誰かの妻』ディルマ・ハッタ監督、脚本、製作/インドネシア/97分

舞台はジャワ島とマカッサル海峡の間にあるカンゲアン諸島。旧態依然の男社会の中「男たちの所有物」のように暮らしている女子高校生のエンダー(エンダン・スリワフユニ)は、現実に逆らうことなく親の決めた金持ちの牧場主の息子と結婚した。

新しい女の生き方に理解のあった母親は既に亡くなり、彼女に付きまとっていた青年も親の決めた縁談に従うことに反対もせず村を出ていってしまう。


出てくる人はほとんど土地の人で、主演の高校生は地元の女教師が演じたと監督さんが話してくれた。何歳の方はわからないが高校生の少女をやれるなんてすごいと思った。

彼女は結婚したが夫婦の関係はなく、夫は親に反抗して都会に出奔。彼女は義父と二人取り残される。でも、いなくなっても「夫の妻」で、この家から出る勇気はないと自覚するまでを描いていた。

まあ、歯がゆい映画と言うのは簡単だが、日本のことわざ?で「女は三界に家なし」という言葉が思い出された。

この作品で気に入ったところは女子高校生の目がアーモンドの形でとても魅力的だったことぐらいだろうか。
posted by ミッキー at 07:41| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする