今日は広島原爆投下の日、伊豆の書棚から「ヒロシマは昔話か 原水爆の写真と記録 」(庄野直美・編著/新潮社 1984年)を見つけて、持ち出し禁止を無視して東京に持ってきた。

文(体験、記録)と写真が半分ずつで読みやすく一気に3分の1ほど読み進んだ。写真は正視できないものもあったが、ヒロシマとナガサキの被害の違いが克明に描かれていて勉強になった。
イラン映画祭で1日5本観たがすべて堪能できるレベルだった。『こんなに遠く、こんなに近く』『ペインティングプール』は以前、福岡アジアフォーカスで観た作品だったが忘れている部分も多々あって2度観られて得した気分になった。
未見の3作品を書いてみた。
🎬『クレイジールーク』アポルハサン・ダヴーディ監督/110分
インターネット上で「片親の子の会」というグループがあって、その若者たちが繰り広げる物語。始めはネット上のチャットだけでお付き合いしていたが、会う話になり5、6人の男女が親しくなる。それぞれ片親だが境遇はいろいろで、兵役を逃れるために「お金がほしい」若者や「お金はうんざりするほどあるが親からの愛に飢えている」女性らによって、ゲームのような賭け事のような遊びを始める。
緊張感はたっぷりあるし、イケメン&美人揃いの出演者ばかりだし、観る私たちも騙してくれる部分もあって、退屈はしなかったが「どんでん返し」が多くてちょっと疲れた。
最後は「人は簡単に信じてはダメ」とか「ネット上の付き合いならこんな関係しか培えないよ」と忠告しているようにも感じた。若者の親世代が出てきたが、その世代の苦労がイランの歴史を示してくれて、善悪は別として、地に足はついていた。
🎬『想像の甘美な味わい』カマル・タブリーズィー監督/94分
シーリーン(甘美の意味)は大学で自然科学を学んでいる女子学生。お菓子製造の会社を経営していて金持ちだが、非常に厳格な家庭。
非の打ち所がない男性とのお見合いの席で、停電になって真っ暗闇の時に、シーリーンは「暗い時なら私の思っていることが言えます。私は結婚しません!」と言いはたち、お相手や両親をびっくりさせた。
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父親はきっと大学の新任講師の先生に気があることを直感して、もうすぐその先生も同行する「研修旅行」には絶対に参加しないよう言い渡していたが……。
ちょっと辛辣なコメディ。シーリーンの想像部分はモノクロの劇画風になっていて個性的な作品だった。
研修旅行には先生はいかないと聞いていたので父親から許しが出て参加したが、急遽、先生も同行が決まり、2人は一層親密になるかと思いきや、ことはそう簡単には行かず、というお話。
そんなシーリーンも研修旅行から帰ってからというもの、自然思考の考えが一層深まり、家中の電気、水、テッシュペーパーの一枚にも無駄遣いさせない女子になってしまう。それなら「シーリーンさん、あなたのお化粧も石油製品だから素っぴんでいたら?」と言いたくなった。
🎬『ボディーガード』エブラヒーム・ハータミーキャー監督/105分
政府の要人・副大統領の身をテロから守る護衛官のヘイデルは部下が200人もいて、彼に憧れて護衛官になる若者がいるほど信頼を集める男だった。
妻はそんな不規則な彼の仕事に嫌な顔一つせず家庭を守っていたが1人娘はそんな両親の生活を知っているので、フィアンセとの結婚に(彼も部下の1人)躊躇していた。
今日も副大統領の身辺を警護していたが、彼の放った一発の銃により大規模なテロ騒動になってしまう。
ヘイデルの仕事や家庭を中心に丁寧に描かれていた。『ボディーガード』といえば「ケビン・コスナー&ホイットニー・ヒューストン」が有名だが、このイラン作品はイラン国の事情を踏まえながら、地味な作りではあるが男気にあふれる作品だった。
出演者に特長付けていたので、見間違えもなく作品に入り込めた。