2019年07月14日

第28回 レインボー・リール東京(2)『エミリーの愛の詩』『カナリア』

🎬『エミリーの愛の詩』マデリーン・オルネック監督/アメリカ/84分/日本初上映

19世紀中頃、10代のエミリー・ディキンソンとスーザン・ギルバートは親友となり、やがて愛を交わす仲になっていく。のちにスーザンはエミリーの兄と結婚するが、二人は隣人同士になって一生密かに関係を続けていく。


2017年に日本で公開されたテレンス・ディヴィス監督の『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』の感想

「詩や文章は女性の仕事ではない」と言われる時代にしっかり自身の考えを実行するエミリは変わり者には違いない。今、彼女が現代に生きていたとしても、これだけはっきり自分の考えを言える人は少ないと思う。そんな彼女の遺した詩を詠んで、「なにものにも従属しない自由」と「平凡な言葉を使いながらも彼女の手にかかると真っさらな美しい言葉に変わる」のを感じた。エミリの死後、46束の詩が見つかる……観ていて崇高な気持ちになった作品だった。

この映画では今回の作品のように、エミリーとスーザンの関係はほぼ入っていなかった。死後、世界的に有名なった詩人の知られざる一面を観せてもらった。

⭐️エミリー・ディキンソンを演じる女優さんはモリー・シャノン。隠遁生活が長くてディキンソンの写真は2枚しかないが、そっくりなお顔だった。


🎬『カナリア』クリスティアン・オルワゲン監督/南アフリカ/123分/日本初上映

1980年代のアパルトヘイト政策下の南アフリカ。歌、ピアノがうまい18歳のヨハンは徴兵制のため軍の聖歌隊に配属される。

仲間と共に聖歌隊いえども厳しい身体訓練や上官の暴力に耐え、全国を周る。そんな中でヨハンは宗教や軍隊の意義について自問し、自分のセクシュアリティとも向き合うことになる。


是非とも公開してほしい作品。終わってからの拍手の鳴りようが違った。国や軍の管轄の合唱団や音楽団の映画は今年になって中国映画『芳華(ほうか)-Youth-』や、今上映中の『COLD WAR あの歌、2つの心』がある。その中に『カナリア』も付け加えてたい。


始まりはコミカルな映像でウキウキ気分、ヨハン青年のビブラートのない真っ直ぐで柔らかい声でうっとりした。この聖歌隊の部隊だというと皆尊敬の眼差しを向けるが、軍に入ると容赦はない。

指導者の言葉に「戦闘も合唱も気持ちを一つにしないと成果をあげられない」と言っていた。 周りの声を聴いて合唱する、は「周りの様子、敵の状態を伺い」戦闘するとなる。

もちろん、合唱の深い男声の響きは腹からのもので感動した。

行く先々で民間人の自宅で3、4人がグループで泊まる様子も、仲間内でふざける様子も、どこを切り取っても素晴らしい作品だった。

ゲイ映画というより人間ドラマであり青春ミュージカル映画の佳品。
posted by ミッキー at 09:55| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする