しかし、脚本に?が。4年前に公開された廣木隆一監督 『さよなら歌舞伎町』は脚本が荒井晴彦さん。この時も?があった。
その映画のセリフ(セリフは確かではないが大筋では合っている)
ラブホ店長の妹が「AV女優」として、このラブホテルで「撮影」をする。もちろん、妹は兄が店長などしるよしもない。兄妹はまさかの対面で「二人だけて少し話させてほしい」となる。
その時の会話で、妹が「3月11日の地震でおじいちゃんは死んで、お母さんは病気になって…」と兄に向かって言う。この時の「3月11日」はいらない。普通なら「アニキもあの地震の時の家の状況、知ってるでしょ?それなのにアニキは手助けもしてくれない!私一人でみんなやったんだよ…」ぐらいじゃないかな。観ている者への説明台詞になっているのが「?」だった。
この『火口のふたり』も「○○に住んで、近くの○○の保育園に勤めていた」と土地の固有名詞をつけている。
ふたりが知っていることなら固有名詞はいらない。「私が上京したのはあなたのそばに行きたかったからだよ。だから近くの保育園に勤めて、アパートも近くに借りたんだよ」 で済む。こちらにわかるように地名を入れる必要はストーリー上もない。脚本家として有名な方なのに理解できない。
🎬『ワイルドライフ』ポール・ダノ監督/アメリカ/105分/伏見ミリオンにて
1960年頃のカナダとの国境近くのモンタナ州の田舎町。14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は、ゴルフ場でコーチとして働く父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)と、専業主婦の母ジャネット(キャリー・マリガン)の3人で慎ましく暮らしていた。
だが、父親がゴルフコーチを解雇されてしまう。でも次の日になって「やっぱり君が必要だ」とゴルフ場から電話がかかるが断ってしまう。数日、職探しもろくにしないでいたが、何を思いたったか「山火事を食い止める出稼ぎの仕事に行く」と勝手に決めて行ってしまう。帰ってくるのは雪が降る時期までだ。
残された母親は水泳教室の臨時の先生、ジョーは写真屋の助手で働くことになったが……。
平和な家庭も一つ狂ってくるとドドドっと暗いものとなって行く。最初は息子に対して勉強熱心な家庭だな、息子は今は素直だか、この子が反抗するようになるのか と思ったが、あにはからんや、両親が問題を起こすのだ。
両親の不仲、お母さんの男関係に14歳の少年が一人悩んでいる姿が非常に切なかった。この少年エド・オクセンボールドは『アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日』や『ヴィジット』で活躍した若手俳優さん。