2019年07月16日

第28回 レインボー・リール東京(4)『ジェイクみたいな子』『クィア・ジャパン』

🎬『ジェイクみたいな子』サイラス・ハワード監督/アメリカ/92分/日本初上映

ニューヨークに住んでいるアレックス(クレア・デインズ)と精神科医の夫のグレッグ(ジム・パーソンズ)は、男の子のおもちゃよりディズニーのお姫様に興味がある息子ジェイクの小学校選びに情報を集めたり、見学に行ったりしている。そんなある日、幼稚園の園長(オクタヴィア・スペンサー)からジェイクの性自認についてカウンセラーに相談してみないかと提言されて……。


親しい友人から「お人形さんごっこやままごとが好きなんだけど、うちの子、大丈夫だろうか」と相談を持ちかけられた。もう30年も前のことだ。

その子は次男でお兄ちゃんは活発でうちのお転婆娘と外遊びをしていた。でも今となっては弟くんも立派なパパになっている。

ジェイクの様子は両親の話の中だけでほとんど姿をみせないし、お顔は最後にピンク色のバレーの衣装で楽しそうに両親の手を持って歩いているかわいい子だった。

将来はどうなるかはわからないが、こういう視点で描かれた映画は今までなかったと思う。是非とも公開してほしい作品だった。


🎬『クィア・ジャパン』グレアム・コルビーンズ監督/日本/101分/世界初上映

現代の日本では様々なジェンダー、セクシュアリティの人々が、型にはまらない生き方を選択できる世の中になりつつある。監督さんは3年かけて日本各地のセクシュアル・マイノリティとして生きる人たちをインタビュー。それぞれの居場所で日頃の思いを自身の言葉で語っているドキュメンタリー。

出演は、ヴィヴィアン佐藤、松田篤史、畑野とまと、のぎすみこ、田亀源五郎、ハスラーアキラ、長谷川博史、小川チガ、杉山文野、レスリー・キー、マサキチトセ、サエボーグ、三橋順子、上川あや、マーガレット、マダム ボンジュール・ジャンジ、青山薫、大河りりぃ、鬼塚哲郎、シモーヌ深雪、砂川秀樹

中でも8月に公開を控えている『トム・オブ・フィンランド』(ゲイアートの先駆者としてフィンランドの国民的芸術家トム・オブ・フィンランドの半生を描いた伝記ドラマ)の記念館を主宰する人との交流を話された田亀源五郎氏や、以前、この映画祭でオープニング司会をなさったマーガレットさんにも映像の中でお会いできたのが嬉しかった。
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2019年07月15日

第28回 レインボー・リール東京(3)『ソヴァージュ』『花咲く季節が来るまで』

昨日は夜9時のカリコレ『ハロウィーン』を観た。2日前から予約できるのでギリギリに入ってもOKなので助かる。もちろん会場は満員。

その前日にレインボー・リール東京で宣伝でブースを出していた「ルピシア」の桃のアイスティーをたくさん飲んだので寝付きが悪く、その結果で居心地よいシネマカリテの椅子で始まる前から居眠り💤

ミッキーのカリコレ2019の一番最初の作品はトホホの出だしだった。91分のうち20分は寝たはず。

ストーリーは
ハロウィーンの朝に食事をとっていた一家のもとに「君はブーされた!」という差出人不明の手紙が玄関先に置いてあった。12歳の息子ケイレブ(ジェイデン・パイナー)は、その手紙を誰かに回さなければ呪われてしまうと強く言ったが、敬虔なクリスチャンである父ジェームズは取り合わず手紙を燃やしてしまう。

こんな夜になのに、家族は用事で出かけてケイレブはハロウィーンの夜を1人きりで過ごすことになった。しばらくするとケイレブは、家に人間ではない何者かの気配を感じ始めた、その時、玄関のチャイムがなって……。


主役の男の子は『ムーンライト』のジェイデン・パイナーで主役・ケヴィンの子ども時代を演った少年。映画紹介写真がネタバレになっているようだが、かなりホラー度は高い。音楽は最高の出来だった。

ホラー映画には「音楽と美しい女性」が必須だが、お姉さん役にオーロラ・ペリノーさんが出ている。


🎬『ソヴァージュ』カミーユ・ヴィダル=ナケ監督/フランス/99分

22歳の青年レオ(フェリック・マリトー)は男娼として日銭を稼いでいた。定住する場所もなく、公園やトイレで寝たり、時には残飯を漁ったりして腹を満たしている。

そんな彼が同じ男娼として稼いでいる年上の男に恋をしてしまう。その男は優しい心根の持ち主だが、付きまとうレオに時には冷たく突き離すこともあって……。

衝撃的な作品だった。長編初監督作品で2018年カンヌ国際映画祭批評家週間でプレミア上映された問題作。

声をかけてくる男たちに身をまかせていることを彼自身何の疑問も不安も感じていない。

誰しも自分が幸せを望んで生きているが、彼にはそれがない。まるで「野良犬」の生き方そのものだ。そう思えば彼の行動が全て納得いくのだ。

この作品にはミッキーでさえ目をつぶってしまいたい箇所があって万人向けには遠い作品だが、この映画祭の中で一番忘れられないものになった。


🎬『花咲く季節が来るまで』キム・ジュンシク監督/韓国/98分/日本初上映

ソウルから地方都市に越してきてカフェを経営する女性ヘス(イ・ヨンジン)は、変わった注文の仕方をする常連客の女子高生イェジンをアルバイトとして雇うことにした。やがてイェジンは寡黙で飾り気のないヘスにときめきを覚え、自身のセクシュアリティーに気づく。ヘスも彼女を気に入ってくれていて食事や買い物に誘うが、ヘスには誰にも言えない秘密があった。


コーヒーの味はいいがお店の飾り付けがイマイチで、それを高校生のイェジンが若い感覚でお店いっぱいに桜を手作りして模様替えするシーンがとっても楽しいそう。

イェジンの家庭は両親とも教育熱心で、1点、2点のことで「この間違えがなかったら学年トップだったのに……」などと、韓国の学歴社会を垣間見せてくれる。そんなイェジンは内緒でアルバイトをしている。

二人の関係は精神的なもので、不幸に陥る流れではないが、当人たちにとって一生忘れられない関係として長く続くような気がした。

posted by ミッキー at 14:10| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月14日

第28回 レインボー・リール東京(2)『エミリーの愛の詩』『カナリア』

🎬『エミリーの愛の詩』マデリーン・オルネック監督/アメリカ/84分/日本初上映

19世紀中頃、10代のエミリー・ディキンソンとスーザン・ギルバートは親友となり、やがて愛を交わす仲になっていく。のちにスーザンはエミリーの兄と結婚するが、二人は隣人同士になって一生密かに関係を続けていく。


2017年に日本で公開されたテレンス・ディヴィス監督の『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』の感想

「詩や文章は女性の仕事ではない」と言われる時代にしっかり自身の考えを実行するエミリは変わり者には違いない。今、彼女が現代に生きていたとしても、これだけはっきり自分の考えを言える人は少ないと思う。そんな彼女の遺した詩を詠んで、「なにものにも従属しない自由」と「平凡な言葉を使いながらも彼女の手にかかると真っさらな美しい言葉に変わる」のを感じた。エミリの死後、46束の詩が見つかる……観ていて崇高な気持ちになった作品だった。

この映画では今回の作品のように、エミリーとスーザンの関係はほぼ入っていなかった。死後、世界的に有名なった詩人の知られざる一面を観せてもらった。

⭐️エミリー・ディキンソンを演じる女優さんはモリー・シャノン。隠遁生活が長くてディキンソンの写真は2枚しかないが、そっくりなお顔だった。


🎬『カナリア』クリスティアン・オルワゲン監督/南アフリカ/123分/日本初上映

1980年代のアパルトヘイト政策下の南アフリカ。歌、ピアノがうまい18歳のヨハンは徴兵制のため軍の聖歌隊に配属される。

仲間と共に聖歌隊いえども厳しい身体訓練や上官の暴力に耐え、全国を周る。そんな中でヨハンは宗教や軍隊の意義について自問し、自分のセクシュアリティとも向き合うことになる。


是非とも公開してほしい作品。終わってからの拍手の鳴りようが違った。国や軍の管轄の合唱団や音楽団の映画は今年になって中国映画『芳華(ほうか)-Youth-』や、今上映中の『COLD WAR あの歌、2つの心』がある。その中に『カナリア』も付け加えてたい。


始まりはコミカルな映像でウキウキ気分、ヨハン青年のビブラートのない真っ直ぐで柔らかい声でうっとりした。この聖歌隊の部隊だというと皆尊敬の眼差しを向けるが、軍に入ると容赦はない。

指導者の言葉に「戦闘も合唱も気持ちを一つにしないと成果をあげられない」と言っていた。 周りの声を聴いて合唱する、は「周りの様子、敵の状態を伺い」戦闘するとなる。

もちろん、合唱の深い男声の響きは腹からのもので感動した。

行く先々で民間人の自宅で3、4人がグループで泊まる様子も、仲間内でふざける様子も、どこを切り取っても素晴らしい作品だった。

ゲイ映画というより人間ドラマであり青春ミュージカル映画の佳品。
posted by ミッキー at 09:55| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする