2019年06月09日

「フランス映画祭2019」のお知らせと上映作品情報(2)

1993年から開催されているフランス映画祭。最初は横浜パシフィコ、途中東京に移り、去年から古巣の横浜に戻った。今年の団長さんは『男と女V 人生最良の日々(原題)』のクロード・ルルーシュ監督。先週、東京でフランス映画祭に上映する作品を試写で観るチャンスがあったのでストーリーと感想を少しずつお知らせしたい。
詳しくはこちらで https://www.unifrance.jp/festival/2019/

🎬『社会の片隅で』ルイ=ジュリアン・プティ監督/フランス/102分
行政の決定で、ホームレスのシェルターが閉鎖されることになった。 住むところを失った女たちを社会に出そうと、一部のソーシャルワーカーが動き出すが……。

パリの底辺で暮らす人々の現状を描いたドラマ映画。「花の都パリ」にこんな状況のところがあるとは。中心になって活動する女性(オドレイ・ラミー)もクタクタになって家に帰れば子らに文句を言われてしまう、観ていて手を差し伸べたくなった。他に中堅どころの女優さんコリンヌ・マシエロ、ノエミ・ルヴォヴスキ(『カミーユ、恋はふたたび』の監督さん! )も頑張っている。是非公開してほしい❗️


🎬『愛しのベイビー』リサ・アズエロス監督/フランス/87分
シングル・マザーのエロイーズ(サンドリーヌ・キベルラン)は3人の子どもがいるが、18歳の末娘(タイス・アレサンドラン)がカナダに留学することになって、急に寂しい気持ちになってしまった。別れを前にして毎日の娘の生活を写メをとったり、いらない世話をしたりしてセンチメンタルな日を送っていた。

上の2人の子たちは独立する時は何でもなかったが、末っ子が出て行くと一人ぼっちになるお母さん。その寂しさや不安はわかる気がする。子離れは難しい。でもこの作品で良いヒントをもらった。これも公開は決まっていないが、どこの国でも共通する母親の子育て後の参考になるはずだから是非公開してほしい。

🎬『嵐』フレデリック・ドアザン監督/フランス/6分
道に一冊の本がある。そこに嵐がきて本から飛びだした文字、数字、記号が風に乗って……。

これは6分の短編。『カブールのツバメ』『愛しのベイビー』『マイ・レボリューション』と併映。アニメーションの技術といい、見せ方といい、とても印象深い映像だった。

⭐️もうずいぶん前にフランス映画祭で短編集があって、それが全部素晴らしかったことを思い出した。是非次回は短編集もお願いしたい。

🎬『カブールのツバメ』ザブー・ブライトマン、エレア・ゴベ・メヴェレック監督/フランス/82分
舞台はタリバンに支配されたアフガニスタンの首都カブール。拘置所の看守アティクは私刑が横行する仕事で精神が荒んでいた。病弱な妻のことも心配の種だった。そんなある日、夫殺しの罪で死刑を宣告された美しい女に目を奪われてしまった。日頃、感情を表に出さない夫の泣き顔を見て、妻は思い切った提案をする。

『ディリリとパリの時間旅行』『嵐』同様、これもアニメだ。この3作品を観てフランス・アニメーションのレベルが想像をはるかに超えていたことに驚いた。この『カブール〜』には、画面の明暗の中、表情の生々しさが秀逸だった。究極の夫婦愛を切なく描いていた。

🎬『男と女V 人生最良の日々(原題)』クロード・ルルーシュ監督/フランス/90分/2020年劇場公開予定
老人ホームで多くの時間を過ごし少しずつ過去の記憶が薄れていく男は1人の女が忘れられないでいた。それを察した息子アントワーヌは女をさがしはじめる。
 
1966年にクロード・ルルーシュ監督の『男と女』が公開された。それから50年以上たった今、主演した男と女(ジャン=ルイ・トランティニャン(88)とアヌーク・エーメ(87))は再会する。

リチャード・リンクレイタ―監督の『6才のボクが、大人になるまで。』は、12年間も同じ俳優さんで撮影するという手法で作られた映画だが、男と女は50年後を撮っている。

⭐️お互いの息子アントワーヌ、娘フランスワーズを演じた方も同じ俳優さんを使っているのだろうか。調べてみたがわからなかった。


🎬『アイディアル・パレスの理想宮(仮題)』ニルス・タヴェルニエ監督/フランス/105分/今冬公開

1879年、フランス南部ドローム県の片田舎・オートリーヴに住む郵便配達員のジョセフ・フェルディナン・シュヴァルは、愛娘のために「おとぎの国の宮殿」を作る決意をする。きっかけは「道端の石ころにつまずいてこけてしまった時に、その不思議な形をした石をじっと見ていてインスピレーションが湧いた」ということだ。それから33年の間、たった一人で石を積み上げ完成させた。

無口で不器用な郵便配達人の男が、配達コースが変更になって巡り合った女性フィロメーヌから「初めての郵便配達さんね。ちょっと待って」とお水を持ってきてくれた。それがきっかけで結婚、女の子にも恵まれた。村人たちはそれだけでも相当びっくりしていた。

それからの彼の夢の宮殿作りは妻や子の愛情の証だ。

郵便配達人の映画では名画がある。イタリアの『イル・ポスティーノ』、イギリス、ポーランドの『ゴッホ 〜最期の手紙〜』、中国の『村の郵便配達』があるが、ここにフランスの『アイディアル・パレスの理想宮(仮題)』を+したい。

⭐️今では、フランス政府指定の重要建造物の「シュヴァルの理想宮」は観光名所になっている。

posted by ミッキー at 07:58| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「フランス映画祭2019」のお知らせと上映作品情報(1)

1993年から開催されているフランス映画祭。今年で27回目。最初は横浜パシフィコ、途中東京に移り、去年から古巣の横浜に戻った。今年の団長さんは『男と女V 人生最良の日々(原題)』のクロード・ルルーシュ監督。先週、東京でフランス映画祭に上映する作品を試写で観るチャンスがあったのでストーリーと感想を少しずつお知らせしたい。
詳しくは https://www.unifrance.jp/festival/2019

🎬『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』ジル・ルルーシュ監督/フランス/122分 /7月12日より一般公開
引きこもりニートおじさん(マチュー・アマルリック)、不満だらけでよくキレるおじさん(ギヨーム・カネ)、現実に向き合えないおじさん(ブノワ・ポールヴールド)、音楽家の夢に破れたおじさん(ジャン=ユーグ・アングラード)、いつも一人ぼっちのおじさん(フィリップ・カトリーヌ)など、思わず応援したくなるおじさんたちがシンクロナイズドスイミングに挑戦する作品。

スウエーデンに実在する男性シンクロチームの話が基になっている。オープニングにふさわしい喜怒哀楽➕大感動の作品。

🎬『アマンダと僕』ミカエル・アース監督/フランス/107分/6月22日より一般公開
夏の日差しが溢れるパリ。植木屋、アパートの管理人や旅行者の宿の手配をしている若者ダヴィッド(ヴァンサン・ラコスト)は、宿を紹介した縁で美しい女性レナ(ステイシー・マーティン)と出会い恋に落ちる。
幸せいっぱいの日々が続いたが、ある日突然、大きな悲劇が起こってダヴィッドの姉が死亡。独りぼっちになってしまった姉の一人娘アマンダ(イゾール・ミュルトリエ)の世話を引き受けることになって……。

第31回東京国際映画祭東京グランプリ&最優秀脚本賞の W 受賞した作品。頼りにしていた姉を突然亡くす弟、ママはいつもそばにいてくれるのが普通に思っていたアマンダ。2人は大きな悲しみを抱えて、慣れない生活の中、こぼれてくる涙をぬぐいながら毎日をやり過ごして行く。アマンダを養女にして育てていこうと決心するまでを丁寧に描かれていた。

🎬『スクールズ・アウト』セバスチャン・マルニエ監督/フランス/103分/今秋10月「シッチェス映画祭2019」で上映予定
パリの名門中学校で授業中に突然担任教師が教室の窓から飛び降りた。命はとりとめたものの意識不明。その代用教員の職にありついたピエール(ロラン・ラフィット)は飛び降りした先生のクラス(名門中学校でも特に優秀な生徒のクラス)を受け持つことになって……。

ちょっと作りすぎの感はまぬがれないが、職員室の様子、同僚教師の「先生ぶり」が日本とは違うのが面白かった。

🎬『ゴーストランドの惨劇』パスカル・ロジェ監督、脚本/フランス/91分/英語/8月公開
母親と双子の娘の3人は相続した叔母の家に引っ越して来た。そこは人里から離れていて古びた屋敷だった。叔母の趣味で集めた奇妙で不気味な人形やおもちゃがたくさんあって驚くが、着いた早々に2人の暴漢が家に押し入ってきた。母親は娘たちを守るために必死で暴漢たちをメッタ刺しにした。それから16年後……。

どこをとっても手抜きなし! お金も相当かけている。さすが『マーターズ』の監督さん。いただいた資料に「2度と観たくないけど、2回観たくなる」と書いてあった。そのとおりだった。

🎬『ウルフズ・コール』アントナン・ボードリー監督/フランス/115分/公開予定
フランス軍潜水艦で並外れた聴力をかわれて分析官として従軍しているシャンテレッド(フランソワ・シヴィル)は、シリアで潜行中に自分の判断ミスで危機を招いていまい……。

現実感、緊迫感は半端ではない。そこにオマール・シーさんが登場すると画面がゆるむ。それがいいのか悪いのかミッキーにはわからない。聴力を酷使している周りで、やいやい言っていたので、シャンテレッドがかわいそうになった。

🎬『ディリリとパリの時間旅行』ミッシェル・オスロ監督/フランス、ベルギー、ドイツ/94分/8月公開
監督さんは『キリクと魔女』『アズールとアスマール』の方。ベルエポック(良き時代、美しき時代/フランスの19世紀末から1914年の第一次世界大戦が始まるまでの25年間をさす)のパリにタイムスリップした物語。

主人公はニューカレドニアから来た少女・ディリリ。この時代に活躍した芸術家たちがいっぱい出てきた。色合いもいい、流れる♪音楽もいい、フランス語の音の美しさに相まって、気分はパリジェンヌ?いや、パリ・マダム。

🎬『ゴールデン・リバー』ジャック・オーディアール監督/フランス、スペイン、ルーマニア、ベルギー、アメリカ/7月5日公開
時はゴールドラッシュ。オレゴンの町で最強と恐れなれている殺し屋兄弟がいて、彼らのボスの依頼で黄金を見分ける化学式を発見した男を追いかけることになった。 兄弟の他に連絡係も同行することになった。だが、黄金に目が眩んだ科学者と3人の追っ手の4人は立場を越えて手を結ぶことになる。

殺し屋兄弟の兄(ジョン・C・ライリー)、弟(ホアキン・フェニックス)、連絡係(ジェイク・ギレンホール)、科学者(リズ・アーメッド)と豪華俳優陣。監督さんは『君と歩く世界』の方。見事な演出力で「人間の底なしの欲望」をあぶり出している。

posted by ミッキー at 05:06| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする