成績優秀でスポーツ万能、将来を期待されていた学生ニック(ティモシー・シャラメ)は、ふとしたきっかけでドラッグを手にしたことで次第にのめり込んでいく。
更生施設を抜け出したり、再発を繰り返すニックを献身的な見守りをする父親デヴィッド(スティーヴ・カレル)。だが幾度も裏切られる。それでも息子を信じ続けることができたのは、すべてをこえて「愛している」存在だからだ。
音楽ライターだった父デヴィッド・シェフとドラッグ依存症だった息子ニック・シェフがそれぞれの視点で書いた2冊の本を原作とした実話に基づいている。
ニックの幼い時は夏休みになると離婚した母親のところに一人飛行機に乗せられて行く場面があった。しょんぼりしていてかわいそうな場面だった。お母さんには会いたいが、本当は「行きたくない」と言えない雰囲気もあったように思った。
父の再婚相手、その子どもたちとも気を使う少年時代でもあったはずだ。そう考えると薬物にのめり込んでいった一因は生活環境にもあったと思う。
その精神的な複雑さを見事にティモシー・シャラメは演じていた。今、彼は25歳。今まで少年役が多く、今年も公開予定の作品でも続くが、大人の男を演じるシャラメがどんな役で現れるのか今から楽しみにしている。
⭐️デヴィッド・シェフさんはビートルズのジョン・レノン生前最期のロングインタビューしている方。ニック・シェフさんはNetflix『13の理由』の脚本家。