マカロニ・ウェスタンの名作『続・夕陽のガンマン』(セルジオ・レオーネ監督/主演クリント・イーストウッド/1966年)の有名なラストシーンの撮影地サッドヒル(墓地)に、当時、映画撮影用に作られた墓がそのまま残っていた。
それを映画ファンが見つけ、草ぼうぼうで荒れ地となった「墓地」を有志たちがボランティアで掘り返し始めた。瞬く間にそのニュースが広まって週末にはサッドヒルを訪れる人が増えてきた。
世界的な映画ロケ地・探訪だ。始めて発見した人の話しは聞いていてご本人の興奮が伝わってきた。
それを聞いた音楽担当だったエンニオ・モリコーネさんや当時スタッフとして携わった方々が当時を振り返って語っている。
そして映画完成から50年を記念して、サッドヒルで記念行事を企画し、いよいよ当日……。映画を愛する人たちの夢がいっぱい詰まったドキュメンタリーだった。
🎬『運び屋』クリント・イーストウッド監督/アメリカ/116分/TOHOシネマズ日本橋他にて全国ロードショー公開
退役軍人のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は妻子がいたが家庭を顧みなかったせいで一人暮らしをしていた。ユリの栽培をして生計を立てていたが、売り上げが落ち込んで家も農園も人手に渡ってしまった。
もうすぐ90歳になろうとした時に「運転さえすればいい」という仕事を持ちかけられて、それなら出来ると引き受けた彼だったが、「メキシコの麻薬大組織の運び屋」とは知らなかった……。
これ、実話。巨匠クリント・イーストウッドが麻薬の運び屋である90歳の老人を演じている。監督と主役をやるのは、10年以上前の『グラン・トリノ』以来だ。
まさかこんなオンボロ車のオンボロ爺様が麻薬の運び屋とは思いもしないし、ひゃっとする場面でいつも堂々としている。
巨大麻薬組織の親分(アンディ・ガルシア)から一目置かれて屋敷に招待される。一方、取り締まる捜査官(ブラッドリー・クーパー)も近くにいながら好々爺を演じている。
何回めから麻薬を運んでいることを知ってしまったが、もう後戻りはできない。孫の結婚パーティに多額のお祝い金をあげたり、軍人たちのクラブに寄付をしたりしている。
92歳で亡くなった実話の人の写真を見たがクリント・イーストウッドさんにそっくりだった。