2019年02月25日

『あなたはまだ帰ってこない』渋谷Bunkamuraル・シネマにて

角田光代著の「坂の途中の家」を読み始めた。まだ10Pほどだが最後まで読み切れると思う。

この頃、読む速度も根気も減って途中読みでやめるのが2冊続いた。古本屋で買うときも多いがこれは本屋さんで買った。頑張って少しずつでも読んでいきたい。

角田光代さん原作の映画は『空中庭園』『八日目の蝉』『紙の月』、みんなミッキー好みで未見の方は是非ともDVDでご覧いただきたい。「坂の途中の家」も映画化が決まっているらしい。


🎬『あなたはまだ帰ってこない』エマニュエル・フィンケル監督/フランス、ベルギー、スイス/126分


1944年、第二次世界大戦中、ナチス占領下のパリ。ジャーナリストだったマルグリット(メラニー・ティエリー)は作家への道を歩み始めていた。夫ロベール(エマニュエル・ブルデュー)と共にレジスタンスの一員として活動していたが、ロベールはゲシュタポに捕らえられてしまった。

夫の情報を得ようとパリのナチス本部に通うが同じような境遇の人々で溢れかえっていた。そんな時、謎めいた男がマルグリットに近づいてきた。その男はロベールを逮捕したゲシュタポの手先・ラビエ(ブノワ・マジメル)だった。

彼はマグリットへの尊敬の念を隠そうとせず、小出しに夫の情報を教えてくれるが、次に会う日を約束させていくばかりだった……。


原作は、フランスの文学界を代表する女流作家マルグリット・デュラスが作家として名声を得る前の30代に経験した苦悩と愛を綴ったた自伝的小説「苦悩」

戦時中のパリの描写に息を飲んだ。そしてデュラスの揺れ動く気持ちに共感した。あんなに帰ってくるのを望んだ夫との関係が変化していく気持ちもわかった。

ラビエ役(ブノワ・マジメル)の戦争背景の変化も表情や台詞に現れていた。監督さんの脚本力は端的だが微妙な変化も表していて見事だった。

⭐️エマニュエル・フィンケル監督は、ジャン=リュック・ゴダールやクシシュトフ・キェシロフスキの映画の助監督として一緒に映画を作ってきた方。
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2019年02月24日

グリーンイメージ国際環境映像祭(3)『世界で最も汚染された川(課題)』『黄金の魚 アフリカの魚(課題)』

🎬『世界で最も汚染された川(仮題)』マルタン・ブドット監督/フランス/55分

世界で最も汚染された川と呼ばれているインドネシア・チタルム川。汚染源の主なひとつは大規模な繊維工場群で、世界中のファッションを彩る繊維がここで作られている。この問題を憂慮したチーム「Green Warriors」は、市民たちの協力で、近隣の水、食料生産物、子どもらの体の被害を調べていくうちに衝撃的な発見をしていく。


日本でも「水俣病」と「イタイイタイ病」の2つは水質汚染が原因だ。その当時は因果関係云々で相当長い時間がかかったが、この調査で名前があがったファッション企業は一応に改善の方向に向かっていたのが救いだった。

汚染の科学的証拠として工場から排出する汚水の分析には、夜、工場排水を守衛のいないのを見はからって採取したり、子どもらの頭髪を調べたりしていた。河川近辺の人たちは有害と薄々分かっていても、それを証明することができなかったのだ。

⭐️国内では「ユニクロ」海外では「H&M」の名前が上がっていた。


🎬『黄金の魚 アフリカの魚(仮題)』トマ・グラン、ムサ・ジョップ監督/セネガル/60分

セネガル南部にあるカザマンスは、漁師、魚加工業者、出稼ぎ労働者が集まる西アフリカ最後の難民地区のひとつ。ここで獲れて、加工された魚によって多くのアフリカ諸国の食は満たされていたが……。


カザマンスの海で漁をする移民労働者の屈強な男たち。愚痴のようなものに節をつけて歌いながら、力一杯に網を引くと、イワシ、アジが大量にとれる。漁船が浜辺に近づくと、とれた魚を船上から箱に投げ入れて貰って、加工場に運ぶ。それを運ぶ男も移民労働者。足早に運ぶ男たちの長い行列の先には女たち、子どもたちがそれを燻製にするために手早く魚を並べる。

燻製で出る煙は臭いがすごく、働く人は煙で目をやられる。でも「ここは稼げる」と弱音ははかない。男たちの中には大学を出たが、ここで働いている若者もいる。

働く場所のないアフリカの国々からここに集まってくるのだ。彼らはこの近くにできる燻製工場に恐々としている。「工場と聞いただけで身震いがする、働く場がなくなり死ねと言われているようなものだ…」と話していた。

1年後の浜辺には、廃墟のようになった建物だけ残っていて、ここで屈強な若者が魚をとったり、運んでいた浜辺とは一変していた。一体、どこに行ってしまったのだろう……。
posted by ミッキー at 13:05| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月23日

グリーンイメージ国際環境映像祭(2)『坂網猟−人と自然の付き合い方を考える』『けもの道 京都いのちの森』

🎬『坂網猟−人と自然の付き合い方を考える』今井友樹監督/42分/2018年

石川県加賀市にある「片野鴨池」で伝承されている坂網猟は、300年前からの伝統ある猟法。

池は越冬のために集まった鴨が低空で飛ぶ、その一瞬に網でできたタモのようなもので天高く投げて捕獲する。その伝統ある猟を坂網猟師たちを追ったドキュメンタリー。


『鳥の道を超えて』や、3回も満員で観られなかった(今だに観ていない)『 夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』の監督さん。

『鳥の道を超えて』の中にも、この鴨猟は出てくる。いっぺんに大量に捕る霞網は戦後すぐにGHQにより禁止になったが、この鴨猟は一回で一羽ということでずっと続いている。

鴨が飛び立つのを指定の位置でじっと待ち、鴨の群れが来た瞬間の何秒間に飛び上がって網を投げる姿がとても男性的だった。

この作品は鴨猟の由来、池の整備、周りの山の木々一本にも目配りがあってこその300年続いた猟で、猟場、人の組む合わせ、も昔ながらの決まり通りに不公平がないようにつくられていた。

⭐️監督さんは捕えられた鴨はすぐにしめてしまうがその場面はあえて入れなかったと語ってくれたが、ミッキーはそこを是非入れてほしかった。



🎬『けもの道 京都いのちの森』川原愛子監督/45分/2018年

京都の市街地と山の境界で暮らす猟師・千松信也さんは、近隣の3つの山に入り、手製のワナをかけてシカやイノシシを捕獲。その一部始終、千松さんの生き方、考え方を知るために、ひと冬の猟に密着したドキュメンタリー。

これには感動した。特異な方だ。2018年のNHKの番組で放映されたから、ご覧になっている方も多いと思う。

監督さんと千松信也さんがトークに登場。この細いお身体の中に、あのパワーや強い意思が秘められているのかと凝視した。

けもの道にはほとんど毎日のように見て歩き、糞、足跡、一枚の葉っぱも見落とさず「これは昨日の糞で、子連れで歩いた跡だ」と話しながら歩き回っていた。

自分の仕掛けたワナで捕えたイノシシを解体して家族や友人と食するだけで、それ以上に獲ったりはしない。

そんな中で、イノシシを獲った拍子に、ご自身が足を骨折して病院に担ぎ込まれた。医師から手術をとすすめられたが、彼は「イノシシも3本足のがいる。自分だってギブスだけの治療で不具合とともに生きて行きたい」と頑として手術を受けなかった。

イノシシのトドメを刺すシーンも解体シーンも見事に映し出していた。
posted by ミッキー at 14:41| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする