2019年10月14日

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019(3) 『アリ地獄天国』

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019(3) 『アリ地獄天国』

🎬 『アリ地獄天国』土屋トカチ監督/98分 /日本プログラムより

とある引っ越し会社。一人の営業部門の男性社員が会社の非道な扱いに抗議したがらちがあかないので個人加盟ユニオン(一人でも加入できる)に加入。そうしたら職場の隅に追いやられ一日中シュレッダー係となり1年9ヵ月……個人加盟ユニオンの助けを借りて闘う姿を追いかけている。

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「とある」とは書いてあるが「アリさんマークの引越社」ということはバレバレ。調べて見ると 「ブラック企業大賞2017」が「アリさんマークの引越社」が受賞した。そんな賞があるとは知らなかった。ちなみに、ブラック企業大賞は、12年から毎年選定されていて、東京電力(12年)、ワタミフードサービス(現ワタミ、13年)、ヤマダ電機(14年)、セブン-イレブン・ジャパン(15年)、電通(16年)だとか。大企業も続々。

アリさんマークをじっくり見てみたら小さいアリさんが「汗」を流しながら働いていた。この会社の社員そのものの姿で、訴えた男性の元々の不満疑問は「事故・破損」は自己責任で莫大な借金が出来たことだ。もちろん超過勤務などは日常化されている。

これは公開してほしい。働く現場の日本の現実を勇気を持って訴えた一人の男の成長物語でもある。
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2019年10月13日

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019(2)『放つ』『ホセイン・ヤハリ』『借家』

昨日は楽ワン・ビン監督の超長編『死霊魂』506分の途中で「緊急防災メール」が一斉に入り騒然となった。また、楽しみにしていた夜8時半からの『東京干潟』が上映中止となってしまった。新幹線も止まり、映画祭に来ていた東京の方は帰れず、ホテルは満杯状態。

5人ほどの男子学生?グループは「駅の待合室で朝を待とう」や携帯片手に連れの人に「すっごい高いけど泊まる?」などと聞いていたカップルなど大層困っていた。

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019(2)『放つ』『ホセイン・ヤハリ』『借家』

🎬『放つ』ナセル・タグヴァイ監督/24分/1971年/イラン60sー80s作品

イラン南部のとある町に住む少年ダダはきれいな赤い金魚を手に入れた。その金魚がもとで喧嘩になってダダは友だちのマシューを傷つけてしまう。

短いながら生き生きとした作品だった。マシューの親が怒鳴りこんできて、ダダは納屋に金魚鉢と共に閉じ込められてしまう。

金魚は何回も鉢から出てしまうのを見て「自分の閉じ込められた」状態と一緒だと気付き、傷つけたマシューの協力を得て、元いた海に金魚を戻しにいく……飾り気のない風景の中でも少年の行いに心を奪われた。


🎬『ホセイン・ヤハリ』ホスロ・シナイ監督/17分 /イラン60sー80s作品

古びた家に一人で暮らす有名ネイ奏者の老人。幼い時に奉公に出された彼はお使いを頼まれた時にネイ奏者を中心とする楽団に聴き惚れてお使いを忘れていた。あまりに帰りが遅いと雇い主に見つかりこっぴどく叱られた。それでももう一度聴きたいと店が終わってから楽団を見に行ったらネイ奏者から「さっき怒られてたな。これをあげよう」と言ってネイをもらった。そんないきさつでネイ奏者になった。

ネイは尺八の音に似ていて懐かしい音色だった。特徴はパイプを口の端にくわえるように吹いていることだ。


🎬『借家』エビラヒム・モフタリ、ケイヴァン・キアニ監督/42分/1982年/イラン60sー80s作品

パフラヴィ王制末期に決められた借家法によって「大家の要求でいつでも住民を立ち退かすことが可能」で、革命後もその法律は施行されていた。大家が住民に立ち退きを迫る様子、住民の強い反発、役所の担当者との交渉の一部始終を捉えている。

勢いがあって面白い作品だった。

「いますぐ出ていくわ、みんな外に出して、家具を傷つけたらただではおかない!」と役人に言い放つおばさんがいた。大家も住民も一歩も引き下がらない様子を見て、日本人にはない粘り強さ、悪い言葉だが「開き直り」が強烈なことだ。

★この作品はイラン・イスラーム革命直後に製作された都市の住宅事情をテーマにしたテレビシリーズの1本で、この作品で「借家法」が改正されるきっかけとなった。



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2019年10月12日

山形国際ドキュメンタリー映画祭2019(1)『インディアナ州モンロヴィア』『気高く、我が道を』

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昨日から山形ドキュメンタリー映画祭に来ている。台風接近の影響で気持ちは落ち着かないが山形で映画三昧している。

🎬『インディアナ州モンロヴィア』フレデリック・ワイズマン監督/アメリカ/143分/インターナショナル・コンペティション作品

フレデリック・ワイズマン監督は昔ながらの価値観や生活を守り続ける人々が暮らすインディアナ州の農業の町モンロヴィアを「善きアメリカ人」の住む町としてあらゆる町の様子をスケッチするように映し撮っている。

ありとあらゆるところでカメラを回している。きっとワイズマン監督に選ばれたこの町の絶大な協力があったと思う。

初めのシーンは広大な牧場や農業の風景で、収穫もほとんど機械化されていた。その農機具の中古競り市も独特の節回しで行われていた。

教会の説教、町村の議会、学校(全米屈指の実力を持つバスケットボールの自慢話)、床屋、喫茶店(老人たちが健康について話していた)、スーパーマーケット、美味しそうなpizzaのお店、下手くそだけど味のある吹奏楽部、ライオンズクラブ……、穏やかな映像の中で、町議会での決然とした意見、それに反対する意見を冷静に話し合っていたことが印象に残った。

監督さんは『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館』の方で、2017年の山形で初上映された。

🎬『気高く、我が道を』アラシュ・エスハギ監督、編集、録音、音響/イラン/64分/アジア千波万波作品

イランの田舎で牛を飼い、農業を営む80歳の男は農作業のあと女装してダンスを踊る。革命前は巡業したりミュージシャンの仲間たちとライブをしていたが、革命後は踊ることを禁止されている。今でもたまに結婚式や病院の慰問で踊ることもあるが、彼は一人でも裏庭や部屋の中で踊り続けている。

興味深い作品だった。念入りに化粧すると老人が踊り子に見事に変身する。

家族は愚痴をいいながらも協力しているようだ。その愚痴部分が面白く、愚痴でありながら愛情を感じだ。周りから咎められたり、あざけ笑われたりと相当辛い経験をしたはずなのに、彼の踊りに対しての「打ち込み」ように観念したのだろうか。

彼は踊りの衣装も手作りしていて、スパンコールを一つひとつ縫い付けていた。
posted by ミッキー at 17:04| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする